日産リーフ「B5グレード」実質310万円は復活のサインか? 稼働率1割に喘ぐ工場維持を優先する“台数至上主義”の行方

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2025年の国内新車販売は約457万台と2年ぶりに回復したが、EVは6万台にとどまり伸び悩む。日産はリーフB5で低価格戦略に挑む一方、トヨタは充電インフラとサービスで顧客囲い込みを進め、安さか安心か、EV選択の価値観が明確に分かれる年となった。

車を売る以外の収益源

 消費者は、より手頃なEVを求めている。車の価格競争がさらに激しくなるなかで、車そのものの販売だけで利益を出し続けることは徐々に難しくなっている。そこで、収益の中心を車の販売から別の領域へ移すことが重視され始めている。

 ディーラー網を通じた充電インフラの提供に加えて、メンテナンスサービスや数年後の下取り価格の維持といった周辺の領域が、収益を支える柱になりつつある。日産にとってのリーフB5の販売は、購入後のサービス収益につなげる入口としての役割を果たす必要がある。ただし、リセールバリュー(再販価値)の維持に失敗した場合は、顧客が離れるだけでなく、次のモデルの売り上げにも直撃してくる恐れがある。

 トヨタのバリューチェーン収益は、2025年度に2兆円台に達した。トヨタ自動車の2025年3月期決算では、自動車事業の営業収益が約43兆円、金融事業が約4.4兆円であり、バリューチェーン収益は金融事業の半数近くに迫る規模まで伸びている。

 この莫大な収益は、「車を売った瞬間で取引が終わる」という形態から、「所有している期間の全体にわたって収益を続けて得る」という体制へと移行が完了していることを物語っている。自動車事業の43兆円という巨額の売上に加え、金融やアフターサービスで上積みする盤石な構造は、市場がぶれても揺らぐことのない強い耐性を生んでいる。

 一度購入したユーザーとの接点を続けて持つことが、次に車を買い替える際に自社のブランドを選んでもらうための土台となる。今後は、かつてのような新車売り切りのビジネスモデルから、周辺領域での収益回収を軸とした新たなモデルへの進展が加速していくことが予想される。

 日産が直面している課題は、一台の車の販売を一時的な現金収入で終わらせず、トヨタのように長期的な収益源へ変えられるかという点にある。トヨタのような多角的な収益の仕組みを持たないまま進めるハードウェアの安売りは、将来の経営の体力を削るだけの危険な選択になる恐れがある。

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