中国製EV関税「100%→6%」という衝撃――カナダ市場が大歓迎? 農業と引き換えに“聖域”を開いた等価交換の大波紋

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北米市場で中国製EVの参入が現実味を帯び始めた。カナダは初年度4.9万台の関税引き下げ枠を設定し、低価格EVの流入で消費者選択肢が拡大する一方、既存メーカーは価格競争と生産体制の転換を迫られる構図が鮮明になっている。

北米市場の扉を開く中国製EV

北米市場に迫る中国製EVのイメージ。
北米市場に迫る中国製EVのイメージ。

 2026年初頭、これまで閉ざされていた北米市場への中国製電気自動車(EV)の参入可能性が急速に高まっている。カナダのマーク・カーニー首相は2026年1月16日、中国側が今年3月までにカナダ産キャノーラの関税を84%から15%に引き下げる見返りとして、中国製EVに課す関税を従来の100%から6.1%に大幅に緩和することで合意したと、CBC/Radio Canadaが報じた。関税引き下げの対象となる台数には上限が設けられ、初年度は4.9万台、5年以内には7万台まで拡大される見通しである。

 かつてカナダ政府は、中国のEV産業の急拡大に対抗するため、当時の米バイデン政権や欧州連合の方針に歩調を合わせ、2024年に100%の追加関税を導入していた。しかし今回の決定は、自動車市場の開放が食料輸出再開のカードとして用いられたことを示しており、北米製造業を聖域視してきた保護基盤が根底から揺らぎ始めた事実を突きつけている。

 この方針転換に対し、オンタリオ州のフォード首相は安価な中国製EVの大量流入を招くとして強く批判した。カナダ自動車製造業者協会(CVMA)のキングストンCEOも、今回の合意に深い失望を示し、中国製EVの参入による産業構造の破壊や安全保障上のリスクを指摘している。

 一方、トランプ米大統領はカナダの合意を支持する姿勢を表明した。これに先立ち、トランプ氏は1月13日、米ミシガン州デトロイトの「Detroit Economic Club」で、中国メーカーによる米国内工場の建設を条件に参入を認める意向を示し、現地での雇用創出を前提に容認へと舵を切った。これは関税による市場遮断から、直接投資を通じた国内管理へと戦略の軸を移す、極めて実利的な交渉であるといえる。

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