「首都高 = 700円」は遠い過去――再値上げで上限2130円、なぜ「利用者だけが負担」なのか?

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首都高速は1962年開通以来、老朽化と物価高騰に直面し、普通車上限料金は1950円に達した。2026年度の値上げ検討を控え、収入構造と都市交通効率の見直しが急務となっている。

誰が負担するのか―制度の根本を問い直す

問いかけのイメージ(画像:写真AC)
問いかけのイメージ(画像:写真AC)

 首都高の料金改定が具体化し、年間約6万kmを走る私(都野塚也、ドライブライター)もあらゆる視点から考えたが、疑問は多い。まず問いたいのは、老朽化コストを誰が、どの仕組みで負担するのかという点だ。物価高騰や運営コストの上昇をなぜ利用者だけが担わなければならないのか、納得できない部分がある。高速道路の利用者は確かに料金を支払うが、それだけで全ての負担を押し付けるのは適切とは思えない。

 老朽化が進む状況では、利用者負担だけに頼らず、安定的に収入を確保できる制度が必要である。料金改定の議論では、制度の根本にも目を向ける視点が欠かせない。

 東京都心の交通量増加をどう抑えるかも、重要な課題だ。昼夜の人口差が極めて大きく、国交省の2012年データでは1haあたり昼間は596人、夜間は89人で、昼間は夜間の約6.7倍に達する。パリの2.7倍、ロンドンの0.7倍、ニューヨークの1.2倍と比べても際立っており、郊外から都心へ移動する人の多さを示している。

 2010年の東京23区では、移動手段として約1割の人が自動車を利用していた。バスやトラックなども加わるため、都心と郊外を結ぶ道路では渋滞が発生する。この交通量を適切に抑制することは、都市交通の改善だけでなく、道路管理や維持の観点でも不可欠である。

 距離や時間帯ごとの料金体系をどう組み立て、公平な負担と交通誘導を両立させるかは技術的課題だ。首都高では深夜割引や都心流入割引など複数の割引制度を導入しており、今回の決定では大口・多頻度割引の最大割引率拡充や都心流入割引の延長も2031年3月末まで5年間継続されることが発表された。

 しかし、これらの割引や変動が本当に公平に機能しているかは疑問が残る。混雑時と閑散時の交通量差は依然大きく、料金変動や割引制度の見直しが求められる状況だ。料金体系そのものの仕組みを改める必要もあり、現行の体系では管理者も利用者も満足できるとは思えない。

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