中国EV「制御不能」――知財ライセンスで欧米メーカーを“下請け化”、日本は開発主権・ブランド価値をどう守るべきか?
世界のEV市場で中国勢が占める割合は6割を超え、車載バッテリーではCATLが約4割を握る。技術と規格を外部に供給するライセンス型戦略により、欧米メーカーは自社開発の主導権を失いつつあり、供給網や産業秩序が静かに書き換えられている現実を読み解く。
中国EVの台頭が変える世界構造

電気自動車(EV)の分野で最大の市場を持つ中国は、世界全体のEV販売の6割超を占めるまでに規模を広げ、その存在感はなお強まりつつある。完成車メーカーだけを見ても影響力は大きいが、視野を広げると、バッテリーや車載半導体といった周辺分野でも中国企業の進出が目立つ。
こうした動きは中国国内にとどまらず、海外市場でも一部で主導的な立場を確立し、結果として欧州や米国の大手メーカーが供給側に回る場面さえ生まれている。
この成長を支えているのは、販売台数の拡大そのものではない。技術をまとめ上げ、知的財産として外部に提供し、その対価を得る仕組みが広がった点にある。自国の雇用や生産設備を抱え続ける欧米メーカーに対し、中国勢は技術基盤を握る立場に立ち、競合各社がその枠組み抜きには事業を続けにくい状況をつくり出している。
本稿では、こうした中国企業のライセンス型ビジネスを具体例からたどり、製造の現場を担う役割へと押しやられていく欧米自動車産業の行方を考えていく。