愛媛・伊予鉄バス「ハンドルなし11人乗り」が新時代を切り開く? 1月からレベル4本格運行、ドライバー不足3.6万人に挑む
愛媛・松山市で伊予鉄バスが2026年1月、国内初の運転席無人レベル4自動運転バス営業運行を開始する。人口50万人規模の市街地での運行は、全国の交通事業者が抱えるドライバー不足解消の切り札として注目され、自動運転社会への本格的な転換点となる可能性がある。
金子国交相が自動運転バスに試乗

「本格的な自動運転サービスが実現間近であることを実感した。ようやくここまで来たかという思いがする」――金子恭之国土交通相は愛媛県松山市で運転席無人の自動運転バスに試乗した感想を記者会見でこう語った。金子国交相は視察でバスの説明を受けたあと、松山環状線7.4kmを約40分間、試乗した。バスが走ったのは、愛媛県立中央病院や繁華街の大街道商店街付近など通行車両、人通りが多い松山市中心部。伊予鉄松山市駅の南では伊予鉄横河原線の末広町踏切を通過した。
「車線変更の際、車の流れに自動的に入るなど、スムーズに走っていた。世界最高水準に達していると感じた」と金子国交相。日本の自動運転が中国や米国に遅れを取っている点については「外国に負けないようにしっかりと取り組みたい」と力を込めた。
愛媛県の伊予鉄バスは2026年1月、松山市中心部で自動運転レベル4の路線バス営業運行を始める。運行区間は金子国交相が試乗した松山環状線。運転席無人の本格運行は国内初、自動運転で踏切を通過するのは世界初という。
使用するバスは中国WeRide(ウィーライド)社の車両。全長5.3m、幅2.3m、高さ2.8mの11人乗りで、ハンドルはない。最高時速は40km。緊急停止ボタンがある車両後方に保安員が同乗し、介助が必要な乗客や事故が起きた際の対応に当たる。
運行システムはソフトバンクグループのボードリー製。五つのセンサーと13のカメラで半径200m以内の道路状況をシステムが認識、判断や操作のすべてを担う。2月からは松山市の松山城と道後温泉を結ぶ片道2kmの道後・松山城線でもレベル4の営業運行に入る。伊予鉄バスは「この事業を愛媛松山モデルとして推進する」と意気込んでいる。