スエズ運河はもう不要? 運賃高騰&ロシア依存の「北極海ルート」 日本は安全・効率の狭間でどう判断すべきか

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紅海情勢の悪化でアジア~欧州貨物は南周りルートを強いられ、コンテナ運賃は2024年7月に8828ドルまで急騰した。注目は北極海航路で、初航行船は18日で欧州に到達。距離短縮と海賊回避の利点が、次世代物流の選択肢として浮上している。

長期化するアジア~欧州間南周りう回ルート

貨物船イメージ(画像:Pexels)
貨物船イメージ(画像:Pexels)

 紅海周辺の情勢悪化により、アジアと欧州を結ぶ貨物船は依然としてアフリカ大陸南端を通るう回ルートを余儀なくされている。イエメンの反政府勢力フーシ派による紅海航行船舶への攻撃が顕著となり、船舶のう回が必要になったのは2023年11月だ。

 それから2年が経過し、う回ルートはもはや通常ルートのような感覚すらある。日本海事センターのコンテナ運賃動向によると、上海~ロッテルダム間の40ftコンテナ運賃は、2023年10月の1304ドルから上昇に転じ、2024年7月には

「最高値8828ドル」

を記録した。その後は下落傾向で、2025年9月には2449ドルまで落ち着いている。運賃の下落には景気の影響もあると見られるが、落ち着きつつある状況だ。

 今後はイスラエルとハマスの戦闘が終結し、紅海周辺の安定を待つことになるが、先行きは依然不透明である。その中で、アジアと欧州を結ぶ第三のルートとして北極海ルートへの関心が高まっている。

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