自動運転バスは本当に安全? 1.1億円超の高コスト・赤字リスクが示す「運用&統治」の辛らつ現実
自動運転バスは2032年に向け市場拡大が見込まれる一方、米国や日本で事故や実証中断が相次ぐ。車両価格は1台約1.1億円、財源の約9割は国費補助。技術より先に、安全・制度・採算の設計が問われている。
利用率と赤字構造の見落とし

国土交通省の政府目標は、近年、前倒しで修正された。従来は2030年までに100か所以上での自動運転移動サービスの社会実装を掲げていたが、これを2027年度までに達成するとしている。2023年度以降、自動運転サービスの導入は全国で急速に進み、愛知県の事例のように、2027年度までの実装を目標に据える自治体は少なくない。
ただし、実装時期を先に固定する手法には懸念も残る。社会受容性や法制度の整備が追いつかないまま運行が始まるリスクがあるためだ。その結果、海外で起きたような事故の発生確率が高まる地域や、利用が定着せず低稼働に陥る地域が広域で生じる可能性がある。
自動運転バスの社会実装は、地域の条件に強く左右される。利用者が少ない地域では、既存の路線バス以上に赤字が拡大しかねない。評価指標を事故発生率や利用率に限定するのでは不十分だ。
地域交通網全体をどう維持するのか。その視点が欠かせない。安定した乗客数を確保するためには、運行形態や料金体系、他の交通手段との役割分担を含めたビジネスモデルの検討が不可避となる。