自動運転バスは本当に安全? 1.1億円超の高コスト・赤字リスクが示す「運用&統治」の辛らつ現実
自動運転バスは2032年に向け市場拡大が見込まれる一方、米国や日本で事故や実証中断が相次ぐ。車両価格は1台約1.1億円、財源の約9割は国費補助。技術より先に、安全・制度・採算の設計が問われている。
高コスト構造が阻む採算ライン

自動運転バスを含む自動運転移動サービスの事業財源は、その約9割を国費補助が占めている。国土交通省は政府目標である、2025年度までに約50か所、2027年度には100か所以上での自動運転移動サービス実現に向け、自動運転社会実装推進事業を進めてきた。自治体に補助金を交付し、導入を後押ししている。
将来的には、国費に依存しない事業運営が前提となる。運行収入や独自財源を確保し、自治体単独でサービスを維持する姿が想定されている。ただし、自動運転による人件費削減を織り込んでも、採算確保は容易ではない。多くのケースで、収支はむしろ悪化する可能性が高い。
コスト面の差は大きい。一般的な路線バスは車両1台あたり約3000万円だが、自動運転バスは
「約1億1000万円」
に達する。これに加え、システム維持や保守にともなうランニングコストも発生する。事業全体が高コスト構造になりやすい。
こうしたなか、自治体や事業者は新たな財源確保に動いている。企業版ふるさと納税やクラウドファンディングの活用が広がりつつある。需要に即した事業が定着すれば、開発や製造を担う企業側でも、技術高度化や生産体制の強化が進む可能性がある。
だからこそ、国の役割は補助金の継続的な投入にとどまらない。自動運転サービスが自立的に収益化できる環境を整えることが急務となっている。