「京都縦貫道」全通10年の功罪! 経済効果2.3兆円も、医療・地域が抱える影の現実とは

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京都縦貫道は全線開通10年で累計利用約2億台、経済波及効果約2.3兆円を生んだ。物流3.1倍増、工場534件増と地域経済に大きな影響を与えた一方、府外資本の進出や医療空洞化など課題も顕在化している。

物流量3倍の地域変化

天王山から望む京都盆地の景色(画像:写真AC)
天王山から望む京都盆地の景色(画像:写真AC)

 京都縦貫道は単独で見れば京都府内の路線である。しかし、名神高速道路や舞鶴若狭自動車道、京滋バイパスなど、他府県につながる路線と接続している点が大きな特徴だ。

 接続路線が多いことで、交通ネットワークは広域化するだけでなく、経済圏の拡大にもつながる。京都府内だけで生まれてきた経済が、他府県と連携した経済政策の下でさらなる発展を目指せる環境が整うのである。

 実際に、京都縦貫道沿道地域を発着する貨物車の1日あたりの交通量を、開通前の1985(昭和60)年と2021年で比較すると、1985年は1693台だったのに対し、2021年は5214台に達し、36年間で約3.1倍に増加した。物流交流の活発化は、地域の供給網を内側から変える効果もある。

 京都縦貫道沿線での新規工場立地も増加傾向にある。1985年から2024年の39年間で、沿道への新規工場立地は534件増加した。その多くはICから15分圏内に集中している。ただし、地域経済には新たな課題も生じている。地元資本の滞留率は低下し、外来投資が一部で寡占化しているのだ。

 高速道路を活用した企業誘致は、新たな経済を生む上で必要である。しかし同時に、地域ならではの産業を生かした経済戦略の構築も求められる。進出促進にとどまらず、地域の潜在力を引き出す政策が今後の課題である。

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