「EVはエコ」は嘘だった? 最初の2年間、エンジン車より「3割も多くCO2排出」していた
EVは走行中の排ガスゼロでも、製造時のCO2排出が多く、初期2年間は内燃機関車より30%多く排出する。しかし車両寿命18年で累積排出量は半減し、環境負荷の経済価値もガソリン車の2~3.5倍低減可能だ。
バッテリー製造の環境負荷

電気自動車(EV)に乗るなら、長く乗らなければ意味が薄いようだ。
米デューク大学の研究によると、EVは製造過程で内燃機関車(ICE車)よりCO2の排出量が多い。この追加分を相殺するには
「最低でも2年の走行」
が必要になる。つまり、EVは2年以上使わなければ環境効果が限定的なのだ。
研究チームは2025年10月、「PLOS Climate」において、EVとICE車のライフサイクル全体のCO2排出量を分析した。
・使用燃料の生産
・バッテリー製造
・車両組み立て
・運転
に至るまでを比較している。
EVは走行中の排気ガスがゼロで、CO2や窒素酸化物を直接放出しない。しかし製造段階からの環境負荷は見落とされがちである。
EVのバッテリーにはリチウムが使用される。現状、このリチウムはオーストラリアやチリ、中国などで採掘される必要がある。採掘には大量のエネルギーと水が必要で、管理が不十分だと深刻な環境汚染を引き起こすリスクがある。
試算によれば、リチウム1tの採掘で15tのCO2が排出され、100tの水が消費される。こうして得られたリチウムでEV用バッテリー1個を製造すると、最大で15.6tのCO2が排出される。
研究チームは、リチウム採掘とバッテリー製造がEV1台あたり初年度の総CO2排出量の約半分を占めると指摘する。