「東京に近いのに不便?」 千葉県の50万人級都市が便利そうで“イマイチ”な理由

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人口50万超、千葉県第4の都市・松戸は、JR常磐線や北総線を擁し都心直通の強みを持つ一方、東松戸駅との距離、京葉線不在、空港バス運休など「便利そうで今ひとつ」の矛盾を抱える都市である。

ようやくできたICが〝便利そうで今ひとつ〟

矢切の渡し(画像:写真AC)
矢切の渡し(画像:写真AC)

 松戸の交通を語るとき、道路の話題は避けて通れない。人口50万級の都市でありながら、2018年まで市内に高速道路の乗り場がなかったからだ。これは全国的にも珍しいパターンで、大きなマイナスポイントとなっていた。

 東京外環自動車道の松戸インターチェンジ(IC)が開通したのは2018年6月である。しかし松戸ICは、高谷(湾岸)方面にだけ乗り、高谷方面からだけ降りられる

「ハーフIC」

だった。このため三郷ジャンクション(JCT)や常磐道、埼玉側へは直接アクセスできない。ドライバーが「便利そうで今ひとつ」と感じる要素になっている。

 ICの不完全さと整備の遅れは、松戸市の一般道の構造的脆弱性を決定づけた。松戸市は、江戸川の橋梁に向けてクルマが集中し道路が詰まりやすい地理的制約と、古い市街地の宅地化が先行したため道路拡張が困難という歴史的制約を抱えている。

 このため、IC不在期から続く交通集中は、現在もICの片方向接続と河川による絞り込みで国道6号に負荷を残し、慢性的な渋滞を引き起こしている。さらに、国道6号からの交通を分散すべき松戸~市川間の大動脈である千葉県道1号市川松戸線は、多くの区間が2車線にとどまり、分散機能が弱い。

 こうして「便利そうで今ひとつ」の要素が重なる松戸市だが、市川や船橋にはないオンリーワンの交通手段を持つ。それが船である。「矢切の渡し」が定期運行しており、松戸市矢切と東京都葛飾区柴又を結ぶ渡し船だ。東京23区側に船で渡れることは、松戸の交通を語るときに欠かせない特徴である。

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