鉄道より煎餅? 崖っぷちローカル線が仕掛ける「お菓子サバイバル作戦」とは

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銚子電鉄は、年間利用者わずか約20万人のローカル線ながら、菓子製造で赤字を補填し、クラウドファンディングでは500万円を集めた異色企業だ。「ぬれ煎餅」を武器に“日本一のエンタメ鉄道”を掲げる同社は、ローカル鉄道の限界を超えたビジネスモデルを実証しつつある。では、この“推される鉄道”は本当に持続可能なのか――。

本業は菓子製造業

銚子電気鉄道(写真:写真AC)
銚子電気鉄道(写真:写真AC)

 銚子電気鉄道は、JR総武本線の終点・銚子駅と外川駅を結ぶ。全長6.4kmのミニ私鉄だ。ユニークな経営手法は多くのメディアが取り上げ、広く知られている。しかし、同社の本業は鉄道業ではない。帝国データバンクなどの分類では菓子製造業だ。

 その事業は駅でのタイ焼き販売から始まった。その後、

・ぬれ煎餅
・まずい棒

がヒット商品となる。他の食品メーカー(岩下食品(栃木県栃木市)など)とのコラボ商品にまで広がった。現在まで、

「菓子製造業の収益が鉄道業の赤字を補填する」

経営構造が長く続いている。銚子電気鉄道は「日本一のエンタメ鉄道」を目指す。いわば自らをタレント化してきた。

「ぬれ煎餅買ってください。電車修理代を稼がなくちゃいけないんです」

といった異例のお願い文を発表した。自社の窮状を自虐的に表現し、なりふり構わぬ必死さをアピールした結果、多くの人の「同情」を誘うことになった。地元では応援団が結成され、支援者がさまざまな活動を行う。電車の修理代としてクラウドファンディングで500万円を集めた事例もある。

 一部には、消費者の「同情」による購買行動を

「お布施」

と呼ぶ声もある。営利事業ではなく寄付行為だとやゆされることもあるのだ。「同情」や「お布施」を前提としたこの経営は、果たして今後も持続可能だろうか。

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