鉄道より煎餅? 崖っぷちローカル線が仕掛ける「お菓子サバイバル作戦」とは

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銚子電鉄は、年間利用者わずか約20万人のローカル線ながら、菓子製造で赤字を補填し、クラウドファンディングでは500万円を集めた異色企業だ。「ぬれ煎餅」を武器に“日本一のエンタメ鉄道”を掲げる同社は、ローカル鉄道の限界を超えたビジネスモデルを実証しつつある。では、この“推される鉄道”は本当に持続可能なのか――。

異端の経営モデル

モバイルチケット「犬吠崖っぷちライン1日乗車券」のイメージ(写真:ジョルダン)
モバイルチケット「犬吠崖っぷちライン1日乗車券」のイメージ(写真:ジョルダン)

 小規模な鉄道事業の赤字を他事業で補填する例として、銚子電気鉄道と並び、和歌山県の紀州鉄道や大阪府の水間鉄道がよく引き合いに出される。

 紀州鉄道は1931(昭和6)年に御坊臨海鉄道として開業した。JR紀勢本線の御坊駅と御坊市の市街地を結ぶ、全長2.7kmの私鉄だ。1979年、全国でホテル・リゾートを中心とした不動産事業を手掛ける鶴屋産業の傘下に入った。いわば逆さ合併の形で、紀州鉄道が不動産事業の主体者となる(現在の株主はポリキリング)。現在まで、収益の大部分はホテル・リゾートなどの不動産事業だ。鉄道事業は赤字だが、規模が小さいため本業で十分にカバーできている状況である。

 本社は東京にあり、本業の展開エリアは那須、北軽井沢、熱海、箱根、伊豆などだ。紀州鉄道の沿線とはほぼ無縁である。同社は鉄道が持つ知名度やブランド力を、いわば本業の宣伝広告費として捉えている格好だ。規模な鉄道事業の赤字を大きな他事業で補填する点では、銚子電気鉄道と類似する。しかし、不動産業という確固たる本業がある点で、付帯事業を拡大させてきた銚子電気鉄道とは性格が異なる。

 一方の水間鉄道は、南海本線の貝塚と水間観音を結ぶ、全長5.5Kmの私鉄だ。いわゆる参詣鉄道として長年親しまれてきた。同社は一旦経営破綻した。しかし、2005(平成17)年に飲食チェーンのグルメ杵屋の傘下となる。現在でも赤字ではあるが、鉄道・バス事業として存続している。

 ただし、この支援はグルメ杵屋の経営者による個人的な想いといった性格が強い。本業との関連性は希薄だ。1社スポンサーが付いたという点でも、銚子電気鉄道とは性格が異なるといえる。

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