鉄道より煎餅? 崖っぷちローカル線が仕掛ける「お菓子サバイバル作戦」とは

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銚子電鉄は、年間利用者わずか約20万人のローカル線ながら、菓子製造で赤字を補填し、クラウドファンディングでは500万円を集めた異色企業だ。「ぬれ煎餅」を武器に“日本一のエンタメ鉄道”を掲げる同社は、ローカル鉄道の限界を超えたビジネスモデルを実証しつつある。では、この“推される鉄道”は本当に持続可能なのか――。

自虐的な「タレント性」のジレンマ

銚子電気鉄道のウェブサイト(画像:銚子電気鉄道)
銚子電気鉄道のウェブサイト(画像:銚子電気鉄道)

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「同情」や「お布施」を前提とした経営は、果たして今後も持続可能なのか。筆者(銀河鉄道世代、フリーライター)は十分に持続可能だと見る。その根拠は、近年、国内で「推し」という言葉が一般化したことにある。「同情」や「お布施」は、いい換えれば推しなのだ。

 推しとは、誰かを応援する体験自体が商品となることにほかならない。崖っぷちの銚子電気鉄道というタレントを応援する行為は、歌手や俳優、スポーツ選手を応援することと同義ではないか。

 しかも、乗客は少ないとはいえ、その行動が鉄道という地域の足を支えることにつながる。社会的意義も大きい。銚子電気鉄道をメディア業やエンタメ業として捉えれば、「同情」でも「お布施」でもない。これは立派なビジネスモデルである。

 ひとつ気がかりな点があるとすれば、銚子電気鉄道が自虐的なタレント性をいつまで維持できるかという点だ。このまま崖っぷちであり続ければ、推しが止むことはないかもしれない。

 しかし、当然ながら崖っぷちの経営は、本来あるべき姿ではない。銚子電気鉄道が崖っぷちから脱しつつ、菓子製造業に加え、メディア業やエンタメ業で大きく飛躍することを期待したい。そして、鉄道を維持できる体制になることを願う。

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