「置き配」が普及しても、再配達は増加! 宅配業者に強いてきた功罪を今こそ再考すべきだ
「置き配」が進んでいるにもかかわらず、宅配便の再配達率が増加している。いったいなぜなのか。
2021年10月時点の再配達率は約12%

宅配便の再配達率が微増傾向だ。宅配ボックスの普及や、玄関前などのあらかじめ指定した場所に非対面で荷物を届ける「置き配」が進んでいるにもかかわらず、なぜなのか。
国土交通省の調べによると、2021年10月の宅配便再配達率は
「約11.9%」
であり、前年同月より約0.5%増えたという。
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の解除に伴い、在宅時間が減ったことが理由とされている。やはり不在時の再配達は解決できないのか。
以前「ドライバーの給与も下がる? メルカリ新サービス「ゆっくり宅配」が招く「送料値下げ」という新たな物流問題」(2022年4月15日配信)を執筆したところ、宅配ドライバー不足の問題に対して
「置き配を推進して再配達を減らせば、解決につながるのでは?」
というコメントが寄せられた。
多くの人が置き配という選択肢を肯定し、国も推奨しているにも関わらず、再配達が増えてしいる――。その背景には、置き配の特有の「危うさ」がある。
宅配ボックス販売のナスタ(東京都港区)が「置き配利用時に経験したこと」を調査したところ、
・指定した場所においてもらえなかった:14.6%
・届いた荷物が濡れた:12.2%
・荷物が届かなかった:6.5%
など、利用者のふたりにひとりは何かしらのトラブルを経験していることが分かった。また「不安だと思う」と回答した人も53%を占めた。
もちろん宅配ボックスがあれば不安は軽減されるが、今一歩、導入まで踏み切れない人も多いだろう。かくいう筆者(田中なお、物流ライター)もそのひとりだ。