「国産スポーツカー」再生の条件! フェラーリ&エルメスに学ぶ、夢と希少性の経済学
2025年8月にGT-Rが生産終了する一方、ホンダのプレリュードやトヨタ・セリカ復活の動きがある。スポーツカー市場は性能だけでなく、所有の意味やストーリー、ブランド力が競争力を左右する時代に突入した。フェラーリやエルメスの戦略に学ぶことで、日本車も長期的に安定収益を確保できる可能性がある。
夢で稼ぐ収益モデル
日本車メーカーが成功するには、「いいものを作れば売れる」という前提から脱却する必要がある。他業種と連携し、所有の意味を再定義することが鍵となる。
現在は欧米や韓国との競争が中心だが、将来的には中国が本格的なライバルとなる。その先にはインドや東南アジア、アフリカとの競争も見込まれる。
今の日本のように「よいものを安く」提供し続けると、永続的に発展途上国からの圧力を受け続けることになる。しかし、フェラーリやエルメスのようにストーリー性のある商品を軸にできれば、関税や外部環境に左右されにくい収益構造を築ける。
トヨタはカイゼンで高い収益性と強い財務体質を持つが、他の国産メーカーにとっては、夢を売る戦略のほうが長期的に生き残りやすい。
また、付加価値や物価高による値上げを消費者が受け入れられる社会風土を作れるかも重要だ。幸い日本製品は世界で品質が高く評価されており、あとはストーリーや夢の創造にシフトするだけである。こうした戦略を取れば、トランプ関税のような外部環境にも以前ほど一喜一憂せずに済むだろう。