「国産スポーツカー」再生の条件! フェラーリ&エルメスに学ぶ、夢と希少性の経済学
2025年8月にGT-Rが生産終了する一方、ホンダのプレリュードやトヨタ・セリカ復活の動きがある。スポーツカー市場は性能だけでなく、所有の意味やストーリー、ブランド力が競争力を左右する時代に突入した。フェラーリやエルメスの戦略に学ぶことで、日本車も長期的に安定収益を確保できる可能性がある。
体験価値で勝つ戦略
日本は「ものづくり大国」として生産技術を磨いてきた。しかし、その結果、価値を生み出す力は弱くなった。
NSXやGT-Rといった高性能スポーツカーを生産してきたが、フェラーリのようなブランド力やファッション性に欠けると感じる人も多いだろう。もしGT-Rが走りだけでなくスタイリッシュであれば、販売が増え採算性も高まり、販売停止にはならなかったかもしれない。
では、ブランド力を再び高めるには何が必要か。答えは「ストーリー」「体験」「文化」にある。レクサスは北米市場で体験価値を強化し、成果をあげつつある。次はラグジュアリーブランドの本場であるヨーロッパ市場でも通用するブランド力を築く必要がある。
さらに、ファッションブランドとのコラボも単発で終わらせず、継続することが重要だ。積み上げることでブランド力は高まる。SNSの普及で承認欲求が強まった現代では、ブランドとは「客が欲しいものを提案できる力」にかかっている。
購入者が「手に入れたい」と感じる商品を提供し続ければ、顧客は自己表現を実現したことになり、商品は売れる。フェラーリはまさにこれを実現した。