「国産スポーツカー」再生の条件! フェラーリ&エルメスに学ぶ、夢と希少性の経済学

キーワード :
,
2025年8月にGT-Rが生産終了する一方、ホンダのプレリュードやトヨタ・セリカ復活の動きがある。スポーツカー市場は性能だけでなく、所有の意味やストーリー、ブランド力が競争力を左右する時代に突入した。フェラーリやエルメスの戦略に学ぶことで、日本車も長期的に安定収益を確保できる可能性がある。

フェラーリが示すブランド力

フェラーリ(画像:Pexels)
フェラーリ(画像:Pexels)

 トップブランドを目指すなら、ルイ・ヴィトンだけでは十分ではなく、エルメスを目標にするしかない。

 エルメス・インターナショナルの2025年1~6月期決算では、売上が前年同期比7.1%増の80億4000万ユーロ、純利益は5.1%減の22億4600万ユーロだった。増収減益はフランス政府の大企業課税強化による影響だ。

 一方、LVMHモエ・ヘネシー・ルイヴィトンは売上が4.5%減の398億1000万ユーロ、純利益は21.6%減の56億9800万ユーロとなり、減収減益に陥った。

 事業規模ではルイ・ヴィトンが大きいが、エルメスは職人による手作業で高額商品の希少性を保つ。バーキンなど100万円以上の人気バッグは富裕層向けで、販路や生産量を厳格に管理している。値上げが購買意欲に与える影響も小さい。

 ルイ・ヴィトンは中所得層向けの商品が多く、多少の値上げで購買意欲が揺らぐ点が差となり、業績にも反映される。

 スポーツカー市場でエルメスに相当するのはフェラーリだ。フェラーリは車以上の「ブランド」として認知され、希少性を活かした戦略で価値を高めている。創業者エンツォ・フェラーリは「市場の需要より1台少なく作れ」と語り、モデルごとの生産台数を抑えることでブランド価値を維持した。

 結果として、フェラーリの中古車は値崩れせず、一部車種では価格が上昇することも珍しくない。

全てのコメントを見る