「国産スポーツカー」再生の条件! フェラーリ&エルメスに学ぶ、夢と希少性の経済学

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2025年8月にGT-Rが生産終了する一方、ホンダのプレリュードやトヨタ・セリカ復活の動きがある。スポーツカー市場は性能だけでなく、所有の意味やストーリー、ブランド力が競争力を左右する時代に突入した。フェラーリやエルメスの戦略に学ぶことで、日本車も長期的に安定収益を確保できる可能性がある。

性能だけで売れない現実

 はかつて、馬力の高さやコーナリング性能など、走りの性能が重視されていた。しかし、近年は

・若い世代の車離れ
・失われた30年による経済力低下
・実用性を重視する国民性

の影響で、使い勝手の悪いスポーツカーよりワンボックス車が好まれる傾向が強い。逆に言えば、長期的な好景気が続けば、国民に金銭的・精神的余裕が生まれ、スポーツカーの復権も可能だ。

 つまり、性能の高さは必須条件であるが、それだけでは売れる十分条件にはならない。では、現代のスポーツカーは何を売るのか。その答えは

・所有する意味
・ライフスタイル価値

の再定義にある。

 スポーツカーは大量に売れる商品ではないが、所有することでかっこよさや承認欲求を満たす力は強い。また、近年のブランド志向や「推し活」に代表されるように、現代の日本人は趣味性の高いモノへの投資を惜しまない。その点で、スポーツカーは高い趣味性を備えた商品として現代市場での訴求力を持つ。

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