死者346人の悲劇が変えた航空戦略――なぜ「ターキッシュ エアラインズ」は就航国数世界最多になれたのか?

キーワード :
,
世界最多131か国に就航するターキッシュ エアラインズ。古都イスタンブールの地の利と歴史を武器に、巨大ファンドを背景に急伸する中東勢に対抗する。悲劇を乗り越え、機内食や無料ホテル提供など独自の強みで差別化を図る老舗の現在地とは。

サウジ新興航空の台頭

ボーイング777-300ER(画像:N509FZ)
ボーイング777-300ER(画像:N509FZ)

 中東は資金力の高いエミレーツ航空、エティハド航空、カタール航空などが激しく競り合う激戦区である。そこに、さらなる資金力を持つ大国サウジアラビアが参入しようとしている。同国はこれまで外国人の受け入れを厳しく制限していたが、石油需要の減少に備え、各産業の強化に乗り出した。そのひとつが観光業・航空業の強化だ。

 従来のサウディア強化に加え、首都リヤドに拠点を置くリヤド航空を新設した。両社は2022年頃から小型機・大型機合わせて100機以上を大型発注し、一気に路線網の拡大を狙っている。特にリヤド航空はまだ就航前ながら、アトレティコ・マドリードのスポンサーになるなど積極的な姿勢を示している。

 日本路線の開設にも熱意を見せ、意気込みは並々ならない。規模はまだ未知数だが、石油収入を元手とした2025年3月時点で約139兆円の巨大ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)の資金力があり、2020年代後半以降に一気に存在感を高める可能性は十分にある。またオマーン航空やバーレーンのガルフ・エアも規模拡大を狙っており、一挙手一投足に注目が集まっている。

 こうした新興航空会社が次々と現れる中東で、名門ターキッシュ エアラインズも今後も勝ち抜けるかは未知数である。幸いにもアジアと欧州の接点であるイスタンブールの強みを活かしたネットワーク、観光地の豊富さ、高品質かつユニークなサービスなど、差別化できる要素は多い。

 これらの強みを活かした展開がどこまでできるか、今後の動向が注目される。

全てのコメントを見る