JRは再編されるべき? 「612億円」の赤字が浮き彫りにするJR各社の格差──“セクショナリズム”打破のカギとは

キーワード :
, , , , , ,
JR発足から38年。分割民営化によって露呈した地域間格差と制度疲労をどう克服するか。8400億円超の黒字と612億円の赤字が同居するJR7社体制の限界を前に、国主導による再編の是非と持株会社設立の現実性を問う。

企業価値差を超えた統合戦略

経営統合のイメージ(画像:写真AC)
経営統合のイメージ(画像:写真AC)

 JR各社の経営統合には、企業価値の差を理由とした反対意見も予想される。しかし、企業価値が同じでなければ経営統合できないというルールは存在しない。

 むしろ、企業価値が異なる企業同士のM&Aが繰り返されてきた事実は、価値の差があっても統合が合理的であることを示している。実際、千葉銀行と千葉興業銀行が経営統合を検討している。2025年3月28日、千葉銀行は千葉興業銀行の株式19.9%を取得した。時価総額は千葉銀行が約1.1兆円、千葉興業銀行が約970億円で、両社には11倍の差がある。

 経営統合の判断材料には企業価値も含まれるが、それだけが決め手ではない。統合により単純な合計を超える価値が創出できるか、公益性の高い鉄道事業なら経営統合によって事業の持続可能性が強化されるかも重要な要素である。複合的な視点で判断され、企業価値の大小だけで決まるわけではない。

 国鉄の分割民営化時、中曽根内閣の運輸政務次官を務めていた亀井静香氏はマスメディアの取材でこう振り返っている。

「今になって思うのは、JR各社の格差を抑える見直し規定を入れておけばよかった。しまったなと。JR東海やJR西日本は新幹線があって、黙っていてももうかる。一方でJR東日本は東北もあって、非常に苦労している。東海と西日本の利益をほかの各社に回すような規定や制度を民営化の際に作っておけばよかった。俺がばかだったんじゃ」(『朝日新聞デジタル』2024年6月15日付)

当時の為政者が部分的にとはいえ、国鉄分割民営化の「失敗」を認めている事実は重い。鉄道網の維持や利便性向上のため、国は本腰を入れる必要があるだろう。

全てのコメントを見る