JRは再編されるべき? 「612億円」の赤字が浮き彫りにするJR各社の格差──“セクショナリズム”打破のカギとは
8400億円黒字の光と影

国鉄とは、どのような組織だったのか。国鉄法によれば、国鉄は国有鉄道事業特別会計を用いて鉄道事業などを経営する法人であり、資本金の全額を国が出資する「特殊法人」として設立された(日本国有鉄道法第1・2・5条)。
これに対し、JR7社は「国自らがイニシアティブをもって強制的に設立する特殊会社」とされた。これは、特別法に基づき株式会社の形態をとる法人である(国土交通省「日本鉄道史」)。当初は、国鉄の後身である日本国有鉄道清算事業団が全額出資して設立された。ただし、経営基盤が整い次第、株式を段階的に売却し、早期に純民間会社へ移行する方針が示されていた。
JR各社は、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)」(JR会社法)に基づいて設立された。旅客鉄道会社は、鉄道事業用や関連事業用の資産を引き継いだ。ただし、新幹線に関しては、専用の保有主体が資産を一括して所有し、旅客会社は使用料を支払って借り受け、自社で営業する形式が採られた。
JR発足後、各社間の格差は次第に拡大した。JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州の4社は、JR会社法の適用除外となり、国鉄清算事業団の後身機関が保有していた株式はすべて売却され、完全民営化された。一方、
・JR北海道
・JR四国
・JR貨物
は、いまもJR会社法に基づく特殊法人のままである。これら3社の株式はすべて政府機関が保有している。なお、JR7社間に資本関係はなく、連結対象となる水準の出資は存在しない。
JRグループは2025年で発足から38年を迎えた。上場4社(東日本・東海・西日本・九州)は、2024年度決算で合計8400億円超の当期純利益を計上した。JR北海道とJR四国が
「612億円」
の営業損失を出したが、それを差し引いても、JR7社全体でなお大幅な黒字となっている。財務面だけを見れば、国鉄の分割民営化は一定の成果を挙げたといえるだろう。
しかし、JR各社は今後も収益性を重視し、自社優先の経営姿勢を強める可能性がある。結果として、利用者の利便性が犠牲になる懸念も残る。この点については、後述する。