JRは再編されるべき? 「612億円」の赤字が浮き彫りにするJR各社の格差──“セクショナリズム”打破のカギとは

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JR発足から38年。分割民営化によって露呈した地域間格差と制度疲労をどう克服するか。8400億円超の黒字と612億円の赤字が同居するJR7社体制の限界を前に、国主導による再編の是非と持株会社設立の現実性を問う。

連携不足が招く収益減

エクスプレス予約(EX予約)のウェブサイト(画像:JR東海)
エクスプレス予約(EX予約)のウェブサイト(画像:JR東海)

 JR7社体制の問題のひとつに、各社が自社の採算を優先するあまり、グループ全体としての利益を損なっている可能性がある。

 例えば、JR東日本が全日本空輸(ANA)と連携を進めている事例がある。この連携の狙いのひとつは、JR東日本の管内への観光客を呼び込むことだ。JR東日本としては、自社エリアに観光客を誘致できれば、片道がANA利用であっても問題ない。片道分の運賃だけでも増収につながるからだ。

 しかし、JRグループ全体で見ると、片道分の利用が航空に流れることで収益を失うことになる。つまり、各社が自社の利益だけを追えば、グループ全体としての収益は下がるという矛盾がある。

 本来であれば、JR各社は連携を強化し、競合する交通機関に対してグループ全体としての競争力を高めるべきだ。その好例が、2001(平成13)年9月3日にスタートしたJR東海の新幹線予約サービス「エクスプレス予約(EX予約)」の利用区間の拡大である。

 EX予約はもともと、東海道新幹線専用の予約システムとして導入された。だが、JR東海は山陽新幹線へのサービス拡大をJR西日本に要請した。JR西日本は、販売手数料による減収を懸念し、当初はこの要請に慎重だった。しかし最終的には、新幹線全体の利用者が増えれば十分に採算が取れると判断した。

 JR東海が要請を強めた背景には、東京~大阪間で航空会社のシェアが拡大していたことへの危機感があった(『asahi.com』2006年2月14日付)。

『JR西日本ファクトシート2024』によると、東京~広島間のJRと航空のシェアは、1997年度にはJRが50%を超えていたが、2004年度には40%を下回るまでに落ち込んだ。それが2023年度には、約60%まで回復している。さらに、2022年6月25日には、九州新幹線の博多~鹿児島中央間にもサービスが拡大された。

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