中国CRRCが日本車を駆逐? ジャカルタ通勤鉄道での「E235系失注」が示す、日本の護送船団方式の限界

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日本製中古車両が独占してきたジャカルタ通勤鉄道に異変。中国中車が1年未満の異例の短納期で132両を納入、CRRC製新型車両が続々営業開始した。約3兆円規模の調達劇の裏に、破談した日本側計画と急速な勢力図の転換があった。

欧州規格流用の迅速対応

CLI-125型に搭載されているクノールブレムゼ製のコンプレッサー(画像:高木聡)
CLI-125型に搭載されているクノールブレムゼ製のコンプレッサー(画像:高木聡)

 もっともCRRCといえど、この短納期を達成するために、既存のプラットフォームを最大限に活用し、カスタマイズは最小限に済ましている。

 CLI-125型(CRRC側の呼称はSFM138)は中国で「B型」と呼ばれる一般的な地下鉄車両を原設計としており、同時期に製造されていた中国国内向けの車両とほぼ同じ車体である。高速鉄道には日本の規格を採用したCRRCだが、都市鉄道にはシーメンスなどとの長い協業の歴史から、規格やシステムは欧州仕様に近くなっている。韓国が車体長20m、片側4ドアという日本の通勤型規格に拘っているのとは対照的である。

 よって、CLI-125型の車体長は19.5mと在来車両よりやや短く、車体幅は3000mmと、インドネシア運輸省規格よりも10mm広くなっている(日本型と比べると200mmも広い)。車両間の貫通路も広く、立ち席スペースとなっている為、車体は短いがトータルでの定員はほぼ変わらない。

 納期1年という条件で契約している都合、イニシアチブはメーカー側が握っており、全てをインドネシア向けの規格に合わせることは不可能だ。日本が画策した「E235系輸出」でも運輸省の承認 (床下の車両限界などが異なる為) を特別に取っていた。

 今回、営業開始したCLI-125型第1編成の客室ドア窓に2024年8月製造の刻印を見つけた。ちょうど2024年10月下旬ごろから12月上旬にかけてはKCIの乗務員を招聘した現車講習がCRRC工場内で実施されており、この9月末頃には第1編成が落成していたことがわかる。実際の製造工程は1年を切っていたことになる。

 ただ、生産設備が自動化され、年間生産両数1000両を越える工場である。何といっても車両構体がホバークラフトの原理で、工場内を流れてくるというのだから、設計さえ済ませてしまえば、造作ないことなのかもしれない。

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