なぜ物流業界は“声を上げるドライバー”を排除するのか? 地裁も認定「配車差別」の闇──物流危機の陰で進行する人手不足の“自作自演”

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ドライバー不足が深刻化する物流業界で、「配車差別」が労働者排除の温床に。福岡地裁が不当労働行為と認定した実例も出る中、月13万円の収入減を招く“見えない懲罰”が、制度の盲点と裁量の濫用によって静かにまん延している。

「違法」と認定された実例

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 実際、配車差別はすでに複数の裁判所や労働委員会によって不当労働行為と認定されている。

 例えば福岡県の運送会社の事例では、2021年末に運転手らが労働組合を結成し、待遇改善を求めた。すると翌月から、組合員3人の長距離配送が極端に減り、収入が急減した。月収は最大で13万円減り、生活が圧迫される事態となった。これに対し、福岡地裁は不当労働行為を認定。会社側に未払い賃金などの支払いを命じた。

 配車差別を不当労働行為とした事例は、他にも多数存在する。大阪の観光バス会社や関東の中小運送企業、日雇い形態の業者まで、

・労組結成
・団体交渉の申し入れ

を契機に配車数が激減し、実質的な経済制裁が課される構図が繰り返されている。

 厚生労働省の「労働委員会関係 命令・裁判例データベース」で配車差別を検索すると、多くの事件例が公開されている。命令文では一貫してこう述べられている。

「企業による配車の裁量権そのものは否定しない。しかし、それが組合員への報復として機能した時点で不当労働行為に該当する」

その結果、単なる謝罪にとどまらず、配車復帰や未払い賃金の補填を命じられる例もある。なかには再発防止を誓約した会社名入り文書を組合に手交させる命令も出ている。

 実のところ、配車差別を訴えた案件の多くで、会社側に非を認める判断が下されているのが実態だ。

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