もはや国が「日産」を救済するしかないのか? 6700億円の赤字、取引1万9000社の命運…産業空洞化の懸念! 国の決断が日本の自動車産業を左右する
日産自動車の2025年経営再建計画は約2万人の人員削減と工場集約を打ち出し、純損失6709億円で過去最大級の危機に直面する。日本を代表する自動車メーカーの苦境は、約1万9000社に及ぶ部品供給網や地域経済へ連鎖的な打撃をもたらし、産業構造全体の再設計を迫っている。国の支援の是非とその影響を問い直す緊急課題だ。
崩れゆく「自立した民間企業」像

日産の2025年3月期の純損失は6709億円となった。2000(平成12)年3月期の過去最大赤字(6843億円)に迫る水準である。負債総額は、企業が自力で再建可能な水準を超えつつあり、独力での再生はすでに困難な段階に入っている。
日産が発表した再建計画「Re:Nissan」では、2024年度から2027年度にかけて約2万人の人員削減を見込む。加えて、生産体制の再構築を進め、車両組立工場を現在の17拠点から10拠点へと集約する方針だ。パワートレイン工場についても配置転換や生産シフトの見直しに加え、設備投資の抑制を進めていく。
象徴的なのが、福岡県北九州市で計画されていたLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーの新工場。すでに建設は中止され、今後の電動化投資の抑制姿勢が明確になった。
各地で進む工場閉鎖は、単なる生産体制の再編にとどまらない。地域経済に与える影響は大きく、数値での把握は難しいが、インフラや生活基盤そのものに打撃を与える。結果として、地域の空洞化を加速させるリスクが高まっている。