日産、採算度外視の「切り捨て」か? NV200バネット生産終了・湘南工場閉鎖が示す、高収益化への「痛すぎる決断」
日産自動車は国内外6拠点の工場閉鎖を含む再建計画「Re:Nissan」を発表し、70年以上の歴史を持つ湘南工場の閉鎖と商用車「NV200バネット」の生産終了を決断した。固定費高騰や市場縮小を背景に、収益性低い車種の整理を進める日産の戦略転換は、国内生産の集約と高付加価値車種への資源再配分を加速させる。今後の事業構造の変化と地域経済への影響を読み解く。
「移管なき終了」という異例の選択

日産自動車が経営再建計画「Re:Nissan」を発表した後、読売新聞などが工場削減の具体案を報じた。報道によれば、閉鎖される見通しの工場は国内外で計6か所。国内では追浜工場(神奈川県横須賀市)と日産車体湘南工場(同・平塚市)が対象となる。海外では南アフリカ、インド、アルゼンチン、メキシコの計4拠点が含まれる。
湘南工場では商用車「AD」と「NV200バネット」の2車種を生産してきた。ADはすでに2025年11月での生産終了が報じられていたが、共同通信によると、NV200バネットも生産を打ち切る方向だ。従業員は日産車体九州(福岡県苅田町)への配置転換が進められる見通しである。
一般に、工場閉鎖にともない終了する車種は他工場へ生産移管されるのが通例だ。しかし、湘南工場の閉鎖と同時にNV200バネットが終了する点は、単なる縮小ではなく、明確な事業選別の一環と位置づけられる。
本稿では、NV200バネットの打ち切りと湘南工場の閉鎖を、日産再建におけるひとつの分岐点と捉える。その上で、今後の事業構造や戦略にどのような影響を与えるのか、多角的に検証する。