物流クライシス、やはり「規制緩和」は失敗だった? 倒産328件…疲弊するトラック業界、賃上げもできず! 崩壊寸前のインフラ

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過当競争のツケが現場を蝕む。トラック業界の有効求人倍率は全職種の2倍超、年収は最大60万円低く、倒産件数は年間328件と過去2番目の水準に達した。背景には、小泉政権時代の規制緩和が生んだ収益構造の崩壊がある。

世代交代の停滞と人材不足の深刻さ

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 日本の運送業は重大な局面に直面している。なかでも深刻なのが、待遇改善の難しさと、それにともなう人手不足だ。

 トラックドライバーの有効求人倍率は、全職業平均の約2倍に達している。年間労働時間は全産業平均よりも約2割、つまり400~450時間ほど長い。その一方で、年間賃金は5~15%(20~60万円)も低い水準にとどまっている。

 こうした厳しい環境が、若年層の業界離れを加速させている。ドライバーの高齢化も進んでおり、業界の就業者の約44.3%が40~54歳。29歳以下は全体のわずか10%に過ぎない。

 労働力不足と劣悪な労働条件の背景には、人口減少や高齢化だけでなく、過去の規制緩和の影響もある。規制緩和によって競争が激化し、運賃は下落。その結果、ドライバーの労働条件は悪化し、人材難に拍車がかかっている。

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