首都高「中央環状線」に潜む“西側トンネル大渋滞”という構造的課題! 全線開通10年で考える

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首都高中央環状線(C2)の開通から10年、渋滞損失時間は56%減少し、年間8200億円の経済効果を生み出すなど、東京都と周辺地域に大きな影響を与えてきた。しかし、渋滞の依然として解消されていない部分や今後の発展の限界もあり、次の10年には更なる改善と政策が求められる。

事故減少の要因

中央環状線。山手トンネル(画像:写真AC)
中央環状線。山手トンネル(画像:写真AC)

 中央環状線の開通により、同線より内側の路線で発生する車両の追突・接触事故が大幅に減少した。2000年から2023年のデータによれば、事故件数は約6割減少している。

 事故減少の背景には、まず道路設備の安全性向上がある。例えば、中央環状線を走行していて目につくのが、

・注意喚起の看板の多さ
・照明の明るさ

だ。ひとつひとつは地味な設備だが、総体として事故抑止に寄与していることは疑いない。

 もうひとつの要因は、ドライバーの安全意識の向上である。教習所での教育内容の充実に加え、国土交通省やNEXCOによる安全啓発活動の継続が、運転行動の改善につながっている。

 高速道路の安全性を保つには、道路管理者と利用者の双方の努力が欠かせない。さらに、渋滞の緩和も追突事故のリスクを減らす重要な要素である。こうした点から見ても、中央環状線の整備には大きな意義があるといえる。

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