EVさらに失速? なぜEUは「炭素繊維」を目の敵にするのか?「環境」は口実? 日本勢52%シェア、EV戦略、ブランド防衛…規制の真意を考える

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EUの炭素繊維規制案は一見、環境への配慮として映るが、その背景には産業戦略やブランド戦略、さらにはEV政策の変化が絡んでいるのではないか。日本企業が50%以上のシェアを誇る炭素繊維市場に対するこの規制が、どのような地政学的意図や市場シフトを示唆しているのかを読み解くことが求められる。

日本企業に直撃する規制波紋

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 欧州連合(EU)が「炭素繊維の原則禁止」を検討していることがわかった。日本経済新聞が2025年4月8日、報じた。この動きは、東レや帝人などの日本の素材メーカーにとどまらず、自動車産業全体に波紋を広げている。

 EUは、車両向けの使用を大幅に制限する有害物質リストに炭素繊維を加えた。ELV指令の改正案が成立すれば、炭素繊維が世界で初めて使用規制の対象となる。だが、ここで注目すべきは、本当に炭素繊維の有害性が規制の動機だったのか、という点だ。

 もちろん、炭素繊維が廃棄時に微細化し、皮膚や粘膜に付着する懸念は無視できない。だが、科学的なリスク評価に基づく規制強化とは一線を画す、より深い“意図”が、この政策には滲んでいるように見える。

 EUはなぜ今、そしてなぜ炭素繊維に目をつけたのか。この問いを皮切りに、私たちはEUの本音を読み解いていく必要がある。

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