なぜトヨタは「日野」を手放すのか? 三菱ふそうとの統合劇、巨艦連合は救世主? 認証不正の傷、トヨタの深謀遠慮とは

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商用車業界で進む再編の核心に迫る。日野と三菱ふそう、年商1兆円超の2社が電動化・国際競争の荒波を乗り越えるべく統合へ。背後にはトヨタとダイムラーの静かな駆け引きも。単なる合併では終わらない構造変化が始まった。

問われる「再設計」

東京都日野市にある日野自動車本社(画像:(C)Google)
東京都日野市にある日野自動車本社(画像:(C)Google)

 日野自動車の小木曽聡社長は、2025年3月期の決算説明会で、三菱ふそうトラック・バスとの経営統合について言及した。日刊自動車新聞によれば、小木曽社長は「1日でも早く最終合意にたどり着きたい」と述べ、統合に向けた準備が進んでいることを強調した。また、両社がシナジーを見据え、統合の価値を共有していることも明らかにした。4月22日には、複数のメディアが両社が最終合意に向けて調整中であると報じている。

 両社は、当初2024年中の経営統合を予定していたが、日野による認証不正問題や米国当局の調査などが影響し、2024年2月に統合時期を未定とした。しかし、この経営統合は単なる企業合併ではない。トラック業界全体の枠組みを再設計する起点となり、業界に衝撃を与える可能性がある。

 本稿では、トヨタとダイムラートラックという異なるDNAを持つ企業が統合に向けて連携する点に注目し、単なる合併にとどまらない業界再編としてのインパクトを考察する。

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