日本の道路が「アメ車仕様」になってしまう!? 国産車99%の壁、規制緩和で崩壊危機? 安全・主権を揺るがすトランプ政権の通商圧力とは

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トランプ政権下で再燃した日米自動車通商交渉。米国が日本の安全基準を非関税障壁と指摘し、シェア1%未満の米車の参入障壁を緩和求めるなか、日本の規制緩和が経済戦略と消費者保護の間で揺れる。

SUVが越えられぬ日本のバンパー規制

フォード・マスタングマッハE(画像:フォード)
フォード・マスタングマッハE(画像:フォード)

 トランプ政権が主張する自動車分野における非関税障壁には、安全基準に加え、排ガス規制や認証制度などが含まれるとみられる。これまで米政府は「日本の制度は形式上は開かれているが、実質的には米国車が参入しにくい」と繰り返し訴えてきた。通商交渉のたびに、この点は問題として俎上にのぼってきた。

 では、日本のどの安全基準が非関税障壁とみなされているのか。報道によれば、トランプ大統領は「日本ではボウリング球を使った試験がある」と発言したとされる。以下、具体的な制度の中身を検証する。まず挙げられるのが、

・バンパーの高さ
・歩行者保護基準

である。日本では、歩行者の安全確保を目的に、バンパーの高さや内部構造に厳しい設計条件が課されている。一方、米国の基準は車両同士の衝突を重視しており、スポーツタイプ多目的車(SUV)などの大型車は高くて硬いバンパーを備えることが多い。設計思想そのものが異なっている。

 照明機器の規格にも違いがある。例えば、ヘッドライトの配光やウインカーの色で基準が食い違う。日本ではウインカーは橙色(アンバー)が義務付けられているが、米国では赤色も認められている。このため、米国仕様車をそのまま日本市場に投入することが難しくなっている。

 衝突安全試験も両国で互換性がない。日本と米国では、試験条件や評価項目が異なる。例えば、ダミー人形の仕様や測定項目(HIC値、胸部変位など)に差があり、同じ車種でも評価結果が一致しない。米国で高評価を受けた車でも、日本では再試験が求められるケースが一般的だ。

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