まだ都会で通勤してるの? 近距離手当があるのに「在宅勤務手当」がない企業は時代遅れ! 54%通勤減、7割が週3日以下勤務希望の現実とは

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在宅勤務の普及とモビリティ経済の変革に伴い、企業の制度設計が根本的な転換を迫られている。近距離手当が存在する一方で在宅勤務手当が欠如している現状は、時代遅れの制度に固執し、競争力低下や優秀な人材の流出を招くリスクをはらんでいる。企業は柔軟で公平な制度設計にシフトし、従業員の生産性向上とワークライフバランス実現を目指すべき時だ。

筆者の意見

2025年1月27日発表「2025年 出社に関する実態調査」(画像:パーソルキャリア)
2025年1月27日発表「2025年 出社に関する実態調査」(画像:パーソルキャリア)

 かつて通勤は、働くことの前提であり、社会生活を送るうえで不可欠なものだった。オフィスへの物理的な移動は当然とされていた。そのため、通勤距離に応じて支給される近距離手当は、従業員の経済的負担を軽減し、企業への定着を促す合理的な制度として受け入れられてきた。

 しかし、情報通信技術の急速な発展と、それにともなう働き方の多様化が、この常識を揺るがし始めている。

 新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの企業に在宅勤務の導入を強いた。結果として、物理的な距離を超えた働き方が十分に機能することが実証された。満員電車に揺られ、時間を浪費して出社するスタイルは、生産性向上に必ずしもつながらない。むしろ、心身の健康を損なうリスクがあるという認識が広がった。こうした環境の変化により、近距離手当は

「制度の公平性」

という点で疑問を持たれかねない。オフィスに近い場所に住むことは、従業員の能力や貢献とは無関係であり、住宅事情やライフスタイルの選択に左右される要素に過ぎない。

 一方で、在宅勤務は働く場所にとらわれない柔軟な選択肢を提供する。通勤時間が不要になれば、自己研鑽や家族との時間、十分な休息に充てることができる。ワークライフバランスの向上にも直結する。

 企業側にとってもメリットは大きい。オフィス賃料や光熱費などの固定費削減が期待できるうえ、在宅勤務は環境負荷の軽減にも貢献する可能性がある。

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