航空業界の貧乏神「空港整備特別会計」の欺瞞を暴く! 98もの空港乱立、高すぎる公租公課…その悪業を総括する
地方空港を蝕む赤字構造

空港整備特別会計は、航空機燃料税や着陸料といった安定した財源を持っていた。航空需要が伸びるほど収入も増える仕組みだったため、空港を建設し、予算を投じること自体が存在意義になっていた。
地方にとっても、大規模な空港整備は地域経済を活性化させる手段だった。都市部との経済格差を埋めるため、多額の資金を投じることを望んでいた。その結果、両者の思惑が一致し、日本の空港は急増。2009(平成21)年までに全国で98にまで拡大した。
しかし、空港整備の前提となる需要予測は極めて甘かった。航空運賃次第で利用者が都市部の空港を選ぶ可能性を考慮せず、開設予定の路線や便数を希望的観測で決めるケースが多かった。
静岡空港の例が象徴的だ。筆者(前林広樹、航空ライター)は静岡県出身だが、2000年代に空港建設が進められていた際、自治体幹部らがローカルメディアで語る楽観的な未来予測をよく目にした。ハワイやインドへの路線開設が計画されていたが、
「成田からそれほど遠くない静岡に、本当に必要なのか」
と疑問に感じた記憶がある。
さらに、2000年代まで空港ごとの収支はほとんど公表されていなかった。運輸政策の専門家ですら情報を入手するのが難しい状況だった。地方自治体が管理する地方管理空港では、神戸空港(2006年開港)のように特別会計を設けている例を除き、空港の収支すら明確に区分されていなかった。どこまでを空港の売上や費用とするかも不明瞭なままだった。
その結果、地方空港の収支は悲惨な状況だった。2009年当時、運輸政策研究機構・運輸政策研究所の主任研究員だった内田傑氏が、調査可能な14の空港について本体とターミナルビルの収支を分析。その結果、損益分岐点をクリアしていたのは神戸空港のみで、残りはすべて赤字だった。