空港のグランドスタッフはなぜ低賃金? 重労働でも「年収250万~300万」という現実! CAとの待遇格差が日本観光業に及ぼす深刻な影響とは
同業界でありながら異なる待遇

航空業界には多くの職種があり、それぞれが連携して成り立っている。そのなかでもグランドスタッフ(地上職員)とキャビンアテンダント(客室乗務員)の待遇格差は非常に目立つ。
グランドスタッフは空港の「顔」として旅客対応の最前線に立ちながら、その待遇はキャビンアテンダントと比べて低い。本稿では、両者の仕事内容と待遇の差に焦点を当て、その背後にある構造的な問題について考えていく。
仕事内容の比較

グランドスタッフとキャビンアテンダントの大きな違いは、グランドスタッフが地上で旅客全体を対応し、キャビンアテンダントは機内でサービスを提供する点だ。グランドスタッフの業務内容は次のようなものがある。
・チェックインや手荷物預かりなどの搭乗手続き
・手荷物受け取りなどの到着便における手続き
・車椅子の乗客サポート
・搭乗ゲートでの案内や誘導
・クレーム処理や振替手続きなど、遅延や欠航時の対応
また、ファーストクラス利用者や政府関係者など特別な顧客に対しては、ラウンジサービスや誘導路の確保などVIP専用の対応も行う。一方、キャビンアテンダントの業務は機内での以下のサービスに関わる。
・機内での安全確保(非常時対応、救急処置)
・機内食の提供
・高齢者や子どもへのサポート
グランドスタッフの勤務体系は、基本的に早朝や深夜勤務を含むシフト制だ。対して、キャビンアテンダントは、東京から米国東海岸やヨーロッパ線などで半日以上の勤務になることが多く、宿泊をともなうこともある。この勤務体系の違いは雇用形態にも関わっており、待遇にも大きく影響する。
どちらの職種も接客業務が中心であり、コミュニケーション能力や対人スキルが求められる。航空機を利用する顧客には富裕層や政府関係者も多いため、グランドスタッフもキャビンアテンダントも高度な対人スキルを必要とされる。