渋谷はもう終了? ホームレスは消え、TikTokerが跋扈する「宮下公園」…誰のための公共空間? Z世代が語る“渋谷らしさ”とは何か?

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都市再開発は、誰にとっての「成功」なのか。渋谷のMIYASHITA PARKは、かつてホームレスが集う場から商業施設と一体化した「洗練された空間」へと変貌を遂げた。再開発による賛否の声は今も消えず、「排除か、選択か」を巡る議論は続く。本稿では、都市空間の「ニセコ化」に警鐘を鳴らす谷頭氏の視点を通じて、公共性と経済合理性のせめぎ合いを検証する。

高額ベンチと排除の現実

渋谷(画像:写真AC)
渋谷(画像:写真AC)

「ビーフ」とは、ヒップホップ文化における対立や競争を指す。1984年、ウェンディーズのCMで使われたキャッチコピー「Where’s the beef?(ビーフはどこだ?)」は相手を挑発する表現として広まり、その後ヒップホップの世界でも定着した。本連載「ビーフという作法」はその精神にならい、モビリティ業界のさまざまな問題やアプローチについて率直に議論する場を提供する。他メディアの記事に敬意を払いながらも、建設的な批判を通じて業界全体の成長と発展に寄与することを目指す。

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 2025年3月5日、「『ホームレスを追い出すな』と批判した人はどこへ…『キラキラした宮下公園』が一転、称賛されている残酷な現実」(PRESIDENT Online)という記事が配信された。執筆したのは、ライターの谷頭和希氏である。

 公園のあり方は、現代都市における重要な課題だ。例えば渋谷区では、玉川上水旧水路緑道の再整備事業が議論を呼んでいる。東京都渋谷区が約113億円を投じ、笹塚から代々木までの約2.6kmを整備する計画だ。デザインを担当するのは、パリ在住の建築家・田根剛。園路や広場、特注ベンチなど、デザイン性の高い空間を提案している。

 しかし、この計画には批判もある。特注ベンチは1台約400万円、舗装は1平方メートルあたり17万円の「テラゾー」仕様。デザインを重視するあまり、コストが高騰している点が問題視されている。公共空間を「洗練された空間」として演出する一方で、

・公共施設の商業化
・排他的な空間づくり

が進んでいるのではないか、という指摘もある。

 こうした公園整備をめぐる問題は全国各地で議論になっている。そのなかで、「ニセコ化」という言葉を生み出した氏の主張についても考えていきたい。

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