渋谷はもう終了? ホームレスは消え、TikTokerが跋扈する「宮下公園」…誰のための公共空間? Z世代が語る“渋谷らしさ”とは何か?

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都市再開発は、誰にとっての「成功」なのか。渋谷のMIYASHITA PARKは、かつてホームレスが集う場から商業施設と一体化した「洗練された空間」へと変貌を遂げた。再開発による賛否の声は今も消えず、「排除か、選択か」を巡る議論は続く。本稿では、都市空間の「ニセコ化」に警鐘を鳴らす谷頭氏の視点を通じて、公共性と経済合理性のせめぎ合いを検証する。

公共空間の「静かな排除」

谷頭和希『ニセコ化するニッポン』(画像:KADOKAWA)
谷頭和希『ニセコ化するニッポン』(画像:KADOKAWA)

 谷頭氏は「選択と集中」によるテーマパーク化を意味する「ニセコ化」を提唱する論客だ。著書『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)は、Z世代ジャーナリストによる令和の都市論・消費論として、2025年1月の発売から注目を集めている。

 選択と集中とは、限られたリソースを最も効果的に活用するため、特定のターゲットや領域に絞って投資や努力を集中させる戦略を指す。このアプローチは、特に経営やマーケティングでよく用いられる。企業や団体は広く浅く手を広げるのではなく、特定の市場や顧客層に焦点を当て、効率的に成果を上げることを目指す。

 そんな氏が執筆した冒頭の記事「『ホームレスを追い出すな』と批判した人はどこへ…『キラキラした宮下公園』が一転、称賛されている残酷な現実」での主張を、以下に整理する。

・MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)は民間と公共機関が協力して生まれ、ショッピングモールと公園が一体化している
・再開発前の宮下公園はホームレスの人々が多く住む鬱蒼とした空間だった
・再開発によりホームレスは半ば強制的に排除され、多くの批判を受けた
・MIYASHITA PARKには「ラグジュアリーブランド」が押し出され、高級化が進んだ
・「選択と集中」による「静かな排除」が行われ、公共空間が一部の「選択された人」に限定された
・しかし旧宮下公園も「ホームレスが『選択』されていた空間」であり、「公共的」ではなかった
・アンケート調査では、再開発後のMIYASHITA PARKについて「エリアイメージが良くなった」と回答した人が50.6%に上った
・結果的にMIYASHITA PARKは若者が多く集まる場所となり、TikTokerの聖地になった
・誰かにとっての居心地の良さは「誰かにとっての居心地の悪さ」でもある
・個人の好みが多様化した現在、みんなが居心地の良い場所は原理上作れない
・何かを『排除』することでしか、誰かにとって本当に居心地良く感じる場所は作れない
・多様性などという言葉は、表面上の偽善的な言葉でしかない
・ニセコ化するニッポンにおいて、みんなが仲良く幸せになる空間は作れない

MIYASHITA PARKとは、東京都渋谷区に位置する複合施設だ。2020年7月にリニューアルオープンし、従来の公園機能に商業施設とホテルを融合させた都市型空間として生まれ変わった。

 施設は同区神宮前6丁目にあり、三井不動産が運営している。元々「宮下公園」として親しまれていたが、再開発により立体公園として整備された。屋上にはスケート場やボルダリングウォール、多目的広場などが配置され、都市型の公園として新しい形を提供している。

 地上1階から3階には「RAYARD MIYASHITA PARK」というショッピングモールがあり、ファッションや飲食、エンターテインメント施設が揃っている。さらに、施設内にはライフスタイルホテル「sequence MIYASHITA PARK」も併設されており、観光客の宿泊ニーズにも応えている。

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