いま「移動図書館」がアツい! 人口減少、デジタル化、過疎化…なのになぜ再評価? 単なる“本の配達屋”じゃない! 地域活性化の起爆剤を考える
移動図書館は、都市部や地方のアクセス困難な地域に図書館サービスを提供し、地域活性化に寄与する重要な役割を果たしている。近年、コロナ禍での読書環境改善や災害時の支援など、その機能が再評価され、柔軟なサービス展開が進んでいる。移動図書館の新たな可能性に注目が集まるなか、社会変化に適応し、地域に密着した活動を展開している。
国内外問わない重要性

移動図書館の重要性が増している背景を、具体的な事例を交えて紹介する。
例えば、大分県中津市の愛宕自動車工業が開発した「青空図書館」は、災害時にも活用できる新しい移動図書館車である。この車両は、ソーラーパネルと9.6Kwhの大容量蓄電池を搭載し、約2,000冊の書籍を収納できる。非常時には電源供給や物資運搬にも対応でき、地域の防災拠点としての機能も果たしている。
移動図書館は、災害時に単に図書サービスを提供するだけではない。被災者の
・コミュニティ形成
・心のケア
にも重要な役割を担っている。2011年の東日本大震災では、日産自動車がシャンティ国際ボランティア会(SVA)と協力し、「いわてを走る移動図書館プロジェクト」に移動図書館車のベース車両を寄贈した。これにより、仮設住宅での暮らしを豊かにし、地域交流の場としても利用された。
また、移動図書館は国内だけでなく、海外でも注目を集めている。特に発展途上国では、教育支援の手段として重要な役割を果たしている。カンボジアでは、僻地の小学校への補習支援の一環として移動図書館が活用されており、保護者向けにも子どもの教育や読書習慣の重要性を啓発する活動が行われている。これには、校長による説明や読み聞かせ、自由読書、折り紙、歌などが含まれている。
海外での移動図書館活動は、単に本を提供するだけでなく、地域のコミュニティ形成や教育支援にも大きな影響を与えている。特に教育資源が限られた地域では、移動図書館が貴重な学習機会を提供し、子どもたちの成長を支える重要な存在となっている。