成田空港と並ぶ最悪事例? 「ベルリン・ブランデンブルク空港」の開港が9年延期された、目も当てられぬ理由

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ベルリン・ブランデンブルク国際空港の開港は、当初の予定から9年遅れ、工事費用が3倍に膨らむ結果となった。これには設計変更や過剰な要求が影響しており、インフラ計画の失敗を浮き彫りにした。この長期的な課題は、ドイツの公共事業にどんな教訓を与えたのだろうか。

防火設備の欠陥

ベルリン・ブランデンブルク国際空港(BER)のロゴ(画像:Rechtehalter)
ベルリン・ブランデンブルク国際空港(BER)のロゴ(画像:Rechtehalter)

 しかし、この新空港には重大な欠陥があった。

 2011年10月、査察団が新たに建設されたターミナルで開業リハーサルや運用準備を進めるなか、空港の防火設備に深刻な問題があることが判明した。その内容は、いくつかの火災警報器や煙排出ダクトが全く作動しないことや、加熱ケーブルの近くに高圧電源ケーブルが配置されていることなど、火災が発生した場合、非常に危険な状況になることが予想された。

 このような問題の背景には、空港建設に関して周辺自治体が提出した無理な要求があった。2000年代前半に着工した当初、エアバスA380への対応や大型機やドバイのようなショッピングモール設置が追加要望として挙げられた。

 しかし、これらの要望は新空港がすでに工事中だった時点で出されたため、設計が完成する前に壁や出口、非常用照明、エレベーター、階段などの位置を変更する必要が出てきた。このため、工事面積は当初の20万平方メートルから35万平方メートルに拡大し、現場では作業負担が大きくなり、ミスが多発した結果、防火設備の欠陥を引き起こしてしまった。

 この状況では、開港を予定通り進めることは不可能だった。2012年4月、当時の空港社長は記者会見で「ベルリン・ブランデンブルク国際空港は、開港期間を守れない」と発表した。この発表は開港予定日の5週間前であり、多くの関係者が驚き、国民からの厳しい批判を浴びることとなった。

 防火設備の修繕には時間がかかり、下請け業者を含む関係者が多く関与したため、その作業は途方もない時間を要することとなった。最終的に工事費は当初見積もりの3倍にあたる54億ユーロに達し、ドイツ国民の大きな税負担となった。

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