「安すぎて不安になる」 値上げ5%の中で進むタイヤの正体――ナショナルブランドと新興勢力の間で進む主導権の変化

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物価上昇とタイヤ価格高騰が続くなか、PBタイヤは国内メーカーの生産力と小売網を背景に価格優位を保てるのか。アジアンタイヤの台頭も進む中、品質・価格・安心の競争構造が市場を揺らしている。

PBタイヤ拡大の構図

タイヤのイメージ(画像:写真AC)
タイヤのイメージ(画像:写真AC)

 自動車用タイヤの売り場を歩くと、かつてのようなナショナルブランド一色の光景とは少し様相が異なっている。オートバックスの「マックスラン・エフィシア」や、イエローハットの「プラクティバ」といったプライベートブランド(PB)製品が、確固たる存在感を放っているのだ。

 とりわけ1979年に産声を上げた「マックスラン」シリーズの歩みは長い。オートバックスは全国の膨大な販売データから、日本のドライバーが実際にどう道を走っているのかを分析し続けてきた。その蓄積を反映させた結果、燃費の良さや耐久性、走行時の静かさといった、日常使いに欠かせない性能を高い水準でまとめ上げている。

 こうした製品を支えているのは、住友ゴム工業などの国内大手メーカーとの二人三脚による開発体制だ。メーカー側に立てば、すでに投資の回収を終えた過去の主力モデルの金型や設備を動かせるメリットは大きい。自社ブランドの看板に傷をつけることなく、安定した収益を積み上げられるからだ。

 例えば「マックスラン・エフィシア」は、タイヤが地面に接する形を工夫することで騒音を24.1%も抑え、溝の形を改良してハンドルを切った際の反応を13%高めている。こうした数字が並ぶのも、すでに世のなかで実証された技術を土台に据えているからこその説得力といえる。

 価格に目を向けると、その合理性はさらに際立つ。トヨタ・ヤリス向けのサイズで比較すれば、国内大手メーカーの低燃費タイヤより1割から2割ほど安く設定されているのが見て取れる。最新技術の膨大な開発費を価格に転嫁する必要がなく、既存の生産能力をうまく使い回せる仕組みが、この値札を実現している。

 メーカーにとっては遊んでいる設備を有効に動かす手段となり、販売店にとっては利益の見込める強力な武器となる。このPBタイヤの台頭は、安売りだけではなく、成熟した製造現場が生んだ必然的な流れなのかもしれない。

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