株式上場が「20年」も遅れた、2つの決定的理由【短期連載】東京メトロ、破られた沈黙(2)

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東京メトロの株式上場が20年遅れた背景には、都営地下鉄との一元化問題や経済環境の変化があった。2004年に民営化されて以来、営業収益は約1.2倍に増え、関連事業も成長を遂げた。資産は1.5倍に拡大し、多角化も進んでいる。しかし、経営統合の障壁が上場を阻んできた。次回は、上場への道筋を探っていく。

東京都の一元化問題

丸ノ内線(画像:写真AC)
丸ノ内線(画像:写真AC)

 それが達成できなかった理由は、次のような問題があったからだ。

・都営地下鉄との統合問題が複雑化した
・2008(平成20)年の世界金融危機以降、経済環境が変化した

このなかで最も大きな要因は、国と並ぶ株主である東京都が求める

「都営地下鉄との一元化問題」

だった。

 都営地下鉄との一元化問題は、民営化が議論され始めた当時から存在していた。1985(昭和60)年には、当時の鈴木俊一都知事が営団への国鉄分の出資を東京都が引き受けることで、一元化を実現する方針を示していた。しかし実現しなかった。

 もともと、都内の地下鉄がふたつの事業者によって運営されているのは、1956年に当時の運輸省が急増する人口に対応するために地下鉄建設を早急に進めるよう都に答申したからだ。現在、都営地下鉄は4路線を運営しているが、その経営は常に厳しい状況にある。

 2022年度の決算からも、その厳しさが伺える。具体的には、

・乗車料収入:1158億7000万円
・経常損益:4億4800万円の赤字
・累積欠損金:2151億7500万円
・長期債務:5860億円

となっている。現時点で、都営地下鉄の収入には約3倍の差があり、長期債務は年間収入の約5倍に相当する。

 都営地下鉄の債務の累積は1980年代から問題視されていた。それでも、東京都は交通営団と東京メトロとの経営統合によりコスト削減が可能で、経営の安定が増すと考えていた。そのため、歴代の都知事は経営統合を強く主張していたのだ。

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