「乗らないから関係ない」じゃ済まされない! 路線バス崩壊危機、ドライバーの「給与」を今すぐ上げるべきこれだけの理由

キーワード :
,
2024年問題で、路線バス業界は深刻なドライバー不足に直面している。コロナ禍や待遇の悪さから離職が増え、ドライバーの平均年収は398万円と低い水準だ。その結果、全国でバスの減便や廃止が進み、地域経済や住民の生活にも影響が出ている。ドライバーの待遇改善は急務で、運賃の見直しや税制改革など、社会全体で議論する必要がある。「バスに乗らないから関係ない」とは言えない状況だ。

待遇改善がもたらす未来

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 このような社会的状況を考えると、ドライバーの待遇を改善し、その数を増やすことが街の衰退を食い止める鍵となる。路線バスの安定的で安全な運行や地域交通の維持には、待遇の改善が欠かせない。そのためには

「運賃の見直し」

もひとつの手段である。例えば、現在東京都内の路線バスの均一運賃は230円から240円だが、一時的に雇用の安定を図るために

「250円から300円」

にする案が社会で議論されることもある。これは特定目的運賃の考え方である。安価な運賃は一時的にはメリットがあるかもしれないが、長期的には不便や社会的コストを招く恐れがある。

 もしドライバーの給与を上げにくいのであれば、社会全体でドライバーの税金を大幅に減少させ、その負担を許容するアイデアも考えられる。また、税金を使って給与を上乗せする案もある。

 こうしたさまざまな方法を社会全体で議論し、ドライバーの労働環境を改善することが急務である。もちろん、賃金を上げるだけでなく、よりよいキャリアパスの提供も重要である。

 例えば、事務職への転換可能性を示し、将来的なやる気を促すことが求められる。筆者が知るバス事業者には、元ドライバーで現在は運行課長を務めている人がいる。彼は運転現場を知っているため、運行課長としての力を発揮している。若者の就職意欲を高めることも必要だ。

全てのコメントを見る