「乗らないから関係ない」じゃ済まされない! 路線バス崩壊危機、ドライバーの「給与」を今すぐ上げるべきこれだけの理由
2024年問題で、路線バス業界は深刻なドライバー不足に直面している。コロナ禍や待遇の悪さから離職が増え、ドライバーの平均年収は398万円と低い水準だ。その結果、全国でバスの減便や廃止が進み、地域経済や住民の生活にも影響が出ている。ドライバーの待遇改善は急務で、運賃の見直しや税制改革など、社会全体で議論する必要がある。「バスに乗らないから関係ない」とは言えない状況だ。
賃金問題の背景

路線バスドライバーの賃金は、重労働に対して低い水準にある。出庫から入庫までの間、バスの運賃収入の他にも、
・接客業務
・起終点での車内点検
・清掃
など多くの業務をひとりでこなさなければならない。また、ダイヤの都合で待ち時間が多く、実質的な拘束時間が増えてしまう。残念ながら一般利用者にこの苦労が知られることはない。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」の令和4年のデータによると、路線バスドライバーの平均年収は398万7000円だ。同年度の日本全体の平均年収の中央値が
「423万円」
だった。路線バスドライバーの年収は全体より
「約6%」
低い。2024年4月以降は、改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(厚生労働大臣の告示))に基づき、1か月の拘束時間が原則281時間以内、4週平均で1週間あたり65時間以内と定められている。しかし、神経を使う仕事に対して給与が安いのは明らかだ。
路線バス業界では人手不足が続いているが、賃金は上がらない。コロナ禍の影響で安定した定期券収入が減少し、モータリゼーションが進展しているため、賃金を上げる余裕がない状況だ。