川崎市バスが障害者を「乗車拒否」 ネット大論争も、これは“デジタル化”が生み出した新たな問題ではないか?
川崎市の公共交通で、障害者手帳アプリ「ミライロID」が運転手に拒否される問題が発生した。デジタル化が進む中で、高齢者やデジタルに不慣れな利用者が直面する障壁が浮き彫りになった。運転手の認識不足が原因で、利用者とのコミュニケーションが不足していることも明らかになった。公共交通の未来には、すべての人が使えるシステムが必要だ。
切符購入アプリが抱える利用者格差

この事例から、新しいテクノロジーの導入には、利用者と現場スタッフの双方が対応力を高めることが不可欠であることがわかる。利用者と交通事業者の課題を整理すると、次のとおりだ。
●利用者側の課題
・デジタルリテラシーの差による利用の困難さ
・新しいシステムへの不慣れや抵抗感
●交通事業者の課題
・新システムの操作や説明に関する十分な訓練の不足
・急激な変更に対応するための準備期間の不足
・想定外のトラブルに対する柔軟な対応力の不足
例えば、JR東日本の切符購入アプリ「えきねっと」は、使いこなせば非常に便利だ。特急券の指定席をスマートフォンで簡単に購入でき、予定変更にも対応できる。しかし、慣れていない人にとっては使いこなすのが難しい。例えば、全国の在来線特急が購入できる一方で、すべてがチケットレス対応ではなく、JR東日本のエリア外では紙の切符を発券できない地域も多い。旅行を年に数回しか利用しない人は、複雑さに困って結局みどりの窓口で購入することになるだろう。
利用者と事業者の双方がデジタルサービスに習熟すれば、より便利で効率的なサービスの提供が可能になる。そのため、今後もアプリの利用促進が求められる。
しかし、これは想像以上に困難な作業だ。前述の『令和3年版情報通信白書』によれば、スマートフォンを持っていない人の割合は依然として高く、さらにアプリを問題なく使いこなせる人は限られている。多くの人が、普段使い慣れているアプリ以外にはなかなかなじめないのが現状だ。