川崎市バスが障害者を「乗車拒否」 ネット大論争も、これは“デジタル化”が生み出した新たな問題ではないか?

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川崎市の公共交通で、障害者手帳アプリ「ミライロID」が運転手に拒否される問題が発生した。デジタル化が進む中で、高齢者やデジタルに不慣れな利用者が直面する障壁が浮き彫りになった。運転手の認識不足が原因で、利用者とのコミュニケーションが不足していることも明らかになった。公共交通の未来には、すべての人が使えるシステムが必要だ。

障害者割引の壁

川崎市バス(画像:写真AC)
川崎市バス(画像:写真AC)

 2024年8月、川崎市での出来事が、日本の公共交通が直面する新たな課題を明らかにした。きっかけは『毎日新聞』の報道で、川崎市バスで身体障害のある男性が、川崎市が導入しているスマートフォンの障害者手帳アプリ「ミライロID」を使って割引料金で乗車しようとしたところ、拒否されたというものである。

『毎日新聞』によれば、以下のような経緯があった。

「男性は8月26日午後、家庭教師の仕事へ向かうために川崎駅前から市バスに乗ろうとしたところ、男性運転手から「現物の手帳でないと割引できない」とアプリの利用を断られた。男性は使用可能だと説明したものの受け入れられず、運転手は料金箱を手で押さえて乗車を拒む姿勢を示したという。他の客も乗車を待っていたため、男性はあきらめ、後続の別の運転手のバスで仕事先へ向かった。男性は2週間前の12日夕にも市バスを利用し、女性運転手から同じ理由でアプリの利用をいったん断られたという。この時は交渉の末に割引料金が適用されたが、乗車に時間を要することになった」(『毎日新聞』2024年8月29日付け朝刊)

 川崎市交通局は、アプリの利用について運転手の認識が不足していたことを謝罪した。このことに対して、ネット上では大きな反響があり、9月10日昼時点で、ヤフーニュースの該当記事には

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