川崎市バスが障害者を「乗車拒否」 ネット大論争も、これは“デジタル化”が生み出した新たな問題ではないか?
障害者手帳代替の誤解

このニュースを見ただけでは、
「運転手の認識不足」
が原因で利用者が不利益を被ったように思える。しかし、実際の事情はもっと複雑なようだ。川崎市交通局の担当者は、筆者(昼間たかし、ルポライター)の取材に対して次のように説明した。
「既報の事案につきましては、乗務員及び営業所から、お客様が提示されたスマートフォンの画面が手帳の写真であった(マイナポータルの連携画面ではなかった)ことからお呼び止めした際に生じたとの報告を受けております」
ミライロIDは、2019年にサービスを開始した障害者手帳の情報をデジタル化して利用できるアプリだ。このアプリを使うことで、対応する交通機関や施設では紙の手帳を取り出す手間を省くことができる。
また、アプリ内ではさまざまな障害者割引の情報を提供し、オンラインショッピングも可能だ。2020年にはマイナポータルとの連携が実現し、2024年7月時点でユーザー数は30万人を超え、4000以上の事業者が導入している。このなかで、全国で300以上のバス事業者が対応している。川崎市でも2021年7月から導入されている。
多くのバス会社では、障害者手帳の代替として利用可能になっているが、利用するにはマイナポータルとの連携など特定の条件を満たす必要がある。これらの条件は、ミライロIDの公式サイトに掲載されている。
川崎市バスの場合、「マイナポータルと連携済みのミライロIDをご提示いただいた方が対象です」と明記されている。これは東京都交通局でも同様だ。
また、福岡県内を中心とした路線バスなどを運行する西鉄バスでは、利用条件を詳しく示して注意喚起している。
「「マイナポータル」との連携が完了したミライロIDに限り使用できます。連携が完了していないミライロIDは、割引乗車券の購入や、乗車時の資格確認に使用できません」
ミライロIDを運営するミライロ(大阪市)によれば、交通機関でのミライロIDの利用が拒否される事案はこれまでも発生しており、その都度周知を行っているという。
多くのバス会社では、ミライロIDがマイナポータルと連携していることにより、障害者手帳の代替として利用できると判断している。しかし、この点について事業者の周知や利用者の認識が十分に浸透していないことがうかがえる。