民営化の公約「ブルートレイン = なくならない」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(5)

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ブルートレイン消滅の背景には、新幹線の高速化や競合する高速バス・航空の台頭、安価なビジネスホテルの増加が影響。夜行列車の利用者は減少傾向にあり、運行コストの高さも課題。環境意識の高まりや鉄道旅行の再評価があれば、復活の可能性も期待できる。

コスト圧迫の夜行列車運行

新潟駅に到着した「きたぐに」。2012年2月29日、筆者撮影(画像:大塚良治)
新潟駅に到着した「きたぐに」。2012年2月29日、筆者撮影(画像:大塚良治)

 五つ目は、JR各社にあった「夜行列車運行にともなうコスト削減の思惑」である。夜行列車の運行には、停車駅への駅係員の配置や、乗務員や運転司令員などの人員手配が必要で、これには手間と費用がかかる。しかし、これらのコストに見合った収益を得るのは難しい。JR会社間をまたぐ運行の場合、各社との協議や調整も求められる。筆者は以前、あるJR関係者から、

「JR会社間の直通列車を自社の管内で延長運転する際には、直通する他のJR会社の了解を得る必要があった」

と聞いたことがある。このような負担を自ら進んで引き受ける気持ちになりにくく、これがJR会社間を直通する夜行列車が衰退した一因と考えられる。

 また、夜行列車の運行があると、夜間の線路保守時間を確保するのも難しくなる。夜行列車の車両は日中に車両基地で滞留するが、車両基地のスペースを確保すること自体がコストとなる。不動産の固定資産税や、車両の留置スペース確保にともなう土地の機会費用も発生する。

 実際、夜行列車の廃止により余剰となった車両基地の空きスペースを不動産開発に転用したのが、JR東日本の高輪ゲートウェイである。さらに、夜行列車用の車両を保有するコストも無視できない。こうした有形無形のコストが、JR各社にとって負担となっていたことが推察される。

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