徳島の駅トイレ「外から丸見え」 地元で賛否も、JR四国を蝕む経費削減の毒 こんなになった“真犯人”は誰だ?
ブロック塀で目隠ししただけのトイレ
JR四国の経費節約で、四国の駅が悲惨な状況になっている。無人駅がバス停や現金自動預払機(ATM)を思わせる姿に建て替えられる一方で、くみ取り式トイレは今も現役。これが駅のあるべき姿なのか――。扉を開けると、古い和式便器が備え付けられていた。最近、見かけなくなったくみ取り式で、汚れたティッシュペーパーがこびりついている。JR牟岐線の南小松島駅(徳島県小松島市)は、特急列車の停車駅にもかかわらず、昭和の時代そのままのトイレが現役だ。
駅舎は戦前の1935(昭和10)年建築。以前は瓦ぶきの和風建築だったが、中心駅だった旧国鉄小松島駅が1985年に廃止されたのを機に、洋風のしゃれた建物に改修された。駅舎内の小松島市観光案内所で聞くと、トイレは当時から年季が入っていたという。
トイレは駅前に面して、男性用の和式便器が2台、小便器が3台、女性用の和式便器が3台、改札内に男女兼用の和式便器と小便器が各1台ある。駅前側は大人の背丈ほどのブロック塀で目隠ししているが、今は洋式の水洗トイレが当たり前の時代。待合室にいた女子高校生(16歳)は
「あんなトイレは使えない」
と首を横に振っていた。
JR四国の63駅でくみ取り式トイレが現役
JR四国に改修計画がないことから、小松島市が2024年度に建て替える計画だ。
小松島市市民環境課は
「南小松島駅は各地に路線バスが出る交通の結節点。市民が利用する以上、これ以上放置できない」
と狙いを語る。
JR四国管内では、63駅でくみ取り式トイレが残っている。トイレも新設すれば数百万から数千万円の費用がかかるため、トイレ付き列車を走らせて改修を先送りしているからだ。トイレ自体を撤去した駅も35駅に上る。
高徳線の勝瑞駅(徳島県藍住町)は、トイレ内が
「外から丸見え」
だとして批判を浴びている。
1957(昭和32)年に改築された駅舎のくみ取り式トイレは男女兼用で、和式便器と男性用小便器が3台ずつあるが、目隠しはのれんだけ。藍住町政策推進室は
「JR四国から相談がないなか、町が主体となって民間企業の施設を改修できない」
としている。