崩壊寸前の路線バス 「真犯人」はお前だ!【連載】ホンネだらけの公共交通論(15)
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筆者が教えている大学でも、学生が公共交通について真剣に学び、考えるようになったのは、大学や大学院に入ってからだという。これが路線バス崩壊の最大の原因ではないのか。
ドライバー不足深刻化

路線バスの「2024年問題」がクローズアップされ、2030年には路線バスドライバーが3万6000人不足するといわれている。それとともに、
・ドライバーの離職と人手不足の原因である利用者離れ
・コロナ後、ローカルバスの99.6%が赤字という事実
もマスコミで報じられるようになった。つまり、給与を支払うための資金が極端に不足しているため、ドライバーの数を満たすことができないという、気の毒なほど厳しい経営状況が社会的に共有され始めているのだ。しかし日本では、残念ながら
「よし、路線バスを使おう」
という動きはない。
最近、筆者(西山敏樹、都市工学者)はTOD(Transit Oriented Development、公共交通指向型開発)に関する研究を展開し、編著者として、『TODによるサステナブルな田園都市』(近代科学社)本を出版した。TODとは、
「公共交通の利用を前提とした沿線都市開発、沿線地域開発」
を意味する。もっとわかりやすくいえば
「自家用車に頼らないまちづくり」
のことである。なお、東京都区部における「公共交通」と「徒歩・自転車」の合計の交通分担率は約90%である。