民営化の公約「ブルートレイン = なくならない」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(5)

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ブルートレイン消滅の背景には、新幹線の高速化や競合する高速バス・航空の台頭、安価なビジネスホテルの増加が影響。夜行列車の利用者は減少傾向にあり、運行コストの高さも課題。環境意識の高まりや鉄道旅行の再評価があれば、復活の可能性も期待できる。

夜行列車が廃止された五つの理由

新宿駅で出発を待つ「ムーンライトえちご」新潟行き。2011年8月30日、筆者撮影(画像:大塚良治)
新宿駅で出発を待つ「ムーンライトえちご」新潟行き。2011年8月30日、筆者撮影(画像:大塚良治)

 なぜ多くの夜行列車が廃止されたのか、筆者は次の五つの理由を考えている。

・新幹線網の拡大と高速化
・整備新幹線の開業による影響
・競合交通機関の発達
・ビジネスホテルの増加
・夜行列車運行にともなうコスト削減の思惑

早速ひとつずつ説明していこう。

 まずは「新幹線網の拡大と高速化」だ。整備新幹線やミニ新幹線の開業、さらに新幹線列車の高速化により、首都圏や近畿圏と新幹線開業地域との所要時間が大幅に短縮された。この結果、夜行列車の廃止が進むこととなった。

 次は、JR発足後の「整備新幹線の開業による影響」である。整備新幹線の開業にともない、並行在来線の経営分離や廃止が行われ、これが夜行列車の減少を促進した。

 三つ目の理由は「競合交通機関の発達」だ。高速道路網の拡充によって、高速バスが特急料金を徴収しない安価な料金や利便性を武器に支持を広げた。また、航空会社もサービス向上に努め、格安航空会社(LCC)の運航により低価格志向の消費者を引きつけることに成功した。これにより、夜行列車の競争力が低下した。

 四つ目は「ビジネスホテルの増加」である。ビジネスホテルは夜行列車にとって強力な競争相手となった。寝台特急を利用するには、乗車券や特急券に加え、寝台料金が必要だが、ビジネスホテルの宿泊料金はしばしばJRの寝台料金と同程度で、浴室や広いベッドが備わっているため、宿泊客は快適に過ごせる。一方、寝台列車にはシャワーがないものや、個室寝台よりプライバシーや防犯が劣る開放型寝台が中心で、消費者ニーズに対する対応が遅れた。このことも夜行列車の衰退に寄与したと考えられる。

 ただし、観光立国政策によるインバウンドの増加や宿泊事業者によるレベニューマネジメント(需要の繁閑に応じて価格を変動させる仕組み)の導入、物価上昇により宿泊料金は上昇傾向にあるため、寝台列車を復活させた場合、寝台料金の負担感は相対的に和らぐ可能性が高い。

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